遺産分割を放置したら大変なことになりますよ
相続が発生しているけれど、現在住んでいる建物は亡くなった人の名義のままという話が良くあります。
しかし、遺産分割を放置することで、以下の通り法的及び税務的にデメリットが発生します。
また、早期の遺産分割のみインセンティブを与える趣旨で令和3年に民法が改正されました。
法的なデメリット
相続人の複雑化(数次相続の発生)
遺産分割が未了のまま放置をしてしまうと、相続人のうちの誰かが死亡してしまうことがあります。これを「数次相続」といいます。数次相続が発生してしまうことで、新たな相続人が現れます。数次相続となると、普段は疎遠な関係の関係者が多くなり、協議で遺産分割について合意することが困難となります。
立証ができなくなる
遺産分割がなければ、相続手続きを進めることができません。そうすると、預貯金を解約することができなかったりします。遺産に不動産が含まれるとなると、相続人の一人が費用や税金を立て替えて管理している状況になるのですが、後からかかる出捐について他の相続人に求償するような場合に、資料の散逸により立証が困難となったりします。
税務的なデメリット
相続税特例の適用
例えば、相続税についての小規模宅地等の特例や配偶者控除の適用は、原則として相続税申告期限(10ヶ月)までに遺産分割が成立していることが要件となります。また、遺産分割が成立していなければ未分割で一旦は申告・納付をしなければならず、特例等の適用がない状態での高額な納付金の準備が必要になってしまいます。
令和3年民法改正による影響
具体的相続分を主張することができなくなる
従前、遺産分割協議においては、具体的相続分を主張するにあたって、特別受益(相続人から特に利益を受けた場合に、当該利益を相続財産に持ち戻しすること)であったり寄与分(相続人の財産形成に特別の寄与があった場合に、具体的相続分で考慮すること)を主張・立証し、自身に有利に遺産分割協議をおこなうことが可能でした。
しかしながら、令和3年の民法改正(令和5年4月27日までに施行)により、遺産分割協議をせずに遺産を共有のまま放置した結果、相続開始時から10年が経過したような遺産分割については、原則 ※として具体的相続分を主張することができず、法定相続分しか主張できないこととなりました。
※例外として、①10年経過前に、相続人が家庭裁判所に遺産分割請求をしたとき②10年の期間満了前6か月以内に、遺産分割請求をすることができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、当該事由消滅時から6か月経過前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産分割請求をしたとき
遺産分割を進めるためには
遺産分割を進めるためには、
- 相続人を把握すること
- 相続財産を把握すること
が必要となってきます。
まずは、専門家に依頼したうえで、相続調査すなわち①及び②を確定したうえで、相続人が納得するような遺産分割協議案を打診することが必要となってきます。
遺産分割協議が滞っている場合
遺産分割協議が滞っている場合、協議を前に進めるためには、裁判所を利用して手続きを進める必要があります。しかしながら、協議の段階で、争点となっている事柄について、仮に裁判所にて遺産分割調停等を利用した場合の見立てを踏まえたうえで、相続人間で納得できる提案ができれば、協議での解決も可能といえます。訴訟で認められる蓋然性が低い主張を継続することが不合理であることについて、認識を共有化できれば、協議での解決も可能となるわけです。
そして、遺産分割調停など、裁判所での手続きを代理できるのは弁護士のみです。
そこで、遺産分割協議が滞って困っている方には、遺産分割に精通した弁護士への相談をお勧めします。