遺産に収益物件が含まれているのですが、その賃料収入や管理費用は誰か負担するの?
賃料収入について
■この問題につきましては、最高裁の判例があります。
具体的には、賃貸不動産から生じた賃料債権の例で、「遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。
遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである」(最高裁第一小法廷 平成17年9月8日)と判示されており、遺産分割決定確定の日までは、法定相続分に従って法定相続人に帰属し、遺産分割決定確定の日の翌日からは不動産を取得した相続人に帰属することとなります。
管理費用について
■相続人の合意があれば、相続財産からの支出が可能です。
しかしながら、合意が得られない場合に、相続人の一部の者が立て替えた場合には、管理費用の清算の問題となります。この点、原則としては、不動産の共有者は、その持分に応じて、管理の費用を負担する義務を負います(民法253条1項)。