相続Q&A~人間関係編~
異母(異父)兄弟との相続関係はどうなるのですか?
異母(異父)兄弟にも相続権があります。異母(異父)兄弟の相続分は,父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の1/2になります。
遺産分割協議に異母(異父)兄弟が参加していなければ,遺産分割協議自体が無効になってしまうので,相続人調査を行い,トラブルを防止する必要があります。
※最高裁は,非嫡出子の相続分が嫡出子の相続分の1/2とされていた規定を違憲と判断しました。この判断と勘違いしやすいので,注意が必要です。異母・異父兄弟いずれも嫡出子と同じ法定相続分、遺留分侵害請求権を有します。
養子縁組と相続権
養子縁組には,普通養子縁組と特別養子縁組があります。
普通養子縁組の場合,養子縁組後も,実親との親子関係は消滅しません。他方で,特別養子縁組の場合は,親子関係が消滅します。
したがって,普通養子縁組の場合は,実親と養親の法定相続人となりますが,特別養子縁組の場合は,実親の法定相続人にはならず,養親の法定相続人となるのみです。
養子縁組と代襲相続
養子縁組の後に生まれた子は,実孫と同じように扱われるため,代襲相続人になります。
他方で,養子縁組前に生まれた子は,代襲相続人にはなりません。
■愛人と相続
愛人には相続権がありません。配偶者として遺産を相続できるのは,戸籍上の配偶者だけです。したがって,愛人が遺産を要求してきたとしても,原則的には,遺産を渡す必要はありません。
もっとも,遺言等がある場合には,例外的に,愛人に遺産を渡す必要がでてきます。
遺言等がないか,例外的に遺産を受け取れる場合にあたるのか、きちんと確認する必要があります。
■愛人の子と相続
愛人の子が認知されているか否かで,愛人の子に相続権が認められるかが決まります。認知されているか否かは,戸籍を見れば分かります。また,死後認知の可能性もあるため,遺言書の確認も忘れないようにしましょう。
愛人の子に相続権が認められた場合,非嫡出子として,嫡出子と同じ割合で相続分が認められます。
■代襲相続ができるケースを教えてください
代襲相続とは,本来の相続人が被相続人より先に死亡している場合や,相続欠格・排除により相続できない場合に,相続人の子ども等の直系卑属が本来の相続人に代わって相続ができる制度です。
したがって,代襲相続ができるケースは,①本来の相続人が被相続人より先に死亡している場合 ②本来の相続人が相続欠格により相続できない場合 ③本来の相続人が廃除され相続できない場合だといえます。
なお,相続放棄の場合には、代襲相続は生じないため,注意が必要です。
養子縁組前に,養子の子が生まれている場合,その子は直系卑属ではないので,代襲相続は認められません。他方で,養子縁組後に子が生まれた場合,代襲相続が可能です。
■前妻の子にも相続権があると聞いたのですが,詳しく教えてください
離婚したとしても親子関係がなくなるわけではなく,前妻の子にも相続権があります。前妻の子は,第1順位の相続人であり,法定相続分は、再婚した現在の妻の子と同じです。
そのため,前妻の子にも遺産分割協議に参加してもらう必要があり,参加がない場合には,その遺産分割協議は無効となります。
前妻の子の連絡先が分からない場合は,相続人調査で戸籍の附票を取得することで,住所を知ることができます。